第5回新渡戸記念国際シンポジウム
要旨


司会

木村 護郎クリストフ

要旨:
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発表者: 木村 護郎クリストフ
上智大学

最初の世界化:アジアにおけるヨーロッパ文法

ジャン=クロード・オロリッシュ

要旨:
ギリシャ・ローマの文法は、中世初期にアイルランドとイングランドの修道僧によって改変され、キリスト教文法となった。このラテン文法を近代のヨーロッパ 諸語に応用することにより、ヨーロッパ文法が生まれた。16〜17世紀の宣教師は、さらにこの文法を自分たちが「発見」した言語に当てはめた。宣教師たち は、今なお使用されるグローバルなメタ言語を作り出したのである。アジアにおけるイエズス会文法を例にとり、この「文法化」という技術革命について論じた い。

発表者: ジャン=クロード・オロリッシュ
イエズス会司祭。上智大学外国語学部ドイツ語学科学科長。同大学ヨーロッパ研究所所長。17世紀タイのイエズス会士書簡を刊行準備中。主要論文: A Different way of Dialogue (The Journal of Sophia Asian Studies No. 12, 1994)、Die Grammatik im Fruehmittelalter (『中世における自由学芸の伝統』、研究成果報告書、平成9年)、Die franzoesischen Jesuiten in Siam (Bulletin of the Faculty of Foreign Studies, Sophia University, N.41, 2006)。

アジアにおけるニトベ・シンポジウムの意義

ハンフリー・トンキン

要旨:
「新渡戸プロセス」が誕生した背景には、古くは1960年代に芽生え、その後の社会言語学および言語政策研究の発達によって促進されたある取り組みがあ る。それは効果的な国際コミュニケーション手段を緊急に必要とする現実と言語多様性を保全すべきであるとする希求の調和である。既に、主要言語のみが使わ れる状況から脱却し、少数言語の平等な使用を目指す下方向への計画は多く行われてきた。しかし、主要言語間の抗争を超越し、国際言語コミュニケーションの 平等なあり方を模索する上方向への計画は少ない。第一回新渡戸シンポジウムは1996年にプラハで開催され、その後、ベルリン(1998年)、北京 (2004年)、ヴィリニュス(2005年)と続いた。これまでは欧州連合(EU)を始めとするヨーロッパの言語政策に注意を向けがちであった。今回のシ ンポジウムでは、アジアにおいて諸言語が国際的に使用されることへの対応という問題を取りあげたい。これは政治家が殆ど触れることのない、言語学者もそれ 程多く研究していないテーマである。

発表者: ハンフリー・トンキン
米国ハートフォード大学、人文学教授、名誉学長。英文学および国際交流の職務に加え、言語政策および言語計画の諸側面に関する英語およびエスペラントでの 著作多数。専門誌”Language Problems and Language Planning” (言語問題と言語計画)をプロバル・ダシグプタと共同編集。世界言語問題調査・記録センター(CED)所長。

新渡戸稲造の架け橋の思想と補助言語

佐藤 全弘

要旨:
 新渡戸は71年の生涯で七つの橋をかけたと思う。(1)東と西を渡す橋、(2)農村と都市にかける橋、(3)学問と日常をつなぐ橋、(4)男と女を渡す橋、(5)古典と現代を結ぶ橋、(6)理想と現実にかける橋、(7)時と永遠を渡す橋がそれである。
 外国語はこの架け橋の手段であった。新渡戸はエスペラントは学ばなかったが、世界大会の発表の1/4から半分は判ったという。
 しかしエスペラントは東洋の言語は全く考慮していない。すべての国民がその意思を公平に発表できる公平な人工言語を補助言語とすることが、通商 貿易にも、学術交流にも、永久平和実現のためにも必要な時はすでに来ている。新渡戸がこの言語民主主義を主張してから86年、今なお相互無理解に基づく戦 火が多くの人を、特に女性と子供を苦しめている。新たな架け橋の必要が今こそ痛感される。

発表者: 佐藤 全弘
大阪市出身。元大阪市立大学教授、関西外国語大学教授。 現在、大阪市立大学名誉教授。 愛農高校後援会会長、新渡戸基金教育部会長ほかの要職にある。 専門は哲学。 著書に『カント歴史哲学研究』、『藤井武研究』、『矢内原忠雄と日本精神』、『新渡戸稲造−生涯と思想』、『日本の心と武士道』、『クリスマス講話』、 『現代に生きる新渡戸稲造』、『内村鑑三と時代・希望のありか』、『聖書は性についてどう教えるか−「雅歌」に学ぶ』ほか。 訳書に『武士道』ほか多数。

司会

マーク・フェテス

要旨:
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発表者: マーク・フェテス
サイモン・フレーザー大学

外国語・国際語・少数言語:言語問題の多層性と相互連関性

木村 護郎クリストフ

要旨:
ヨーロッパ言語がアジアで果たしている役割は、四つの側面に分けて考えることができる。 国際語、外国語、少数言語、そして国民語(国家語)である。 これらの四つの側面は二重の意味で密接に相互に関連している。 第一に、同じ言語に複数の側面がみられる。 第二に、これらの諸側面は相互の関係性のなかで規定され、相互に影響しあって推移する。 しかし、表面上、それぞれの側面が言語の異なる機能とかかわり、また異なる社会的な領域において現れるため、専門家の間においてさえ、諸側面がばらばらに論じられたり、不十分な関連付けがなされたりしてきた。 本報告では、言語政策の議論においてさまざまな、一見必ずしも関連しない側面をあわせてとりあげる必要性を提起する。 具体例は主に日本の文脈に即してとりあげる。

発表者: 木村 護郎クリストフ
上智大学外国語学部ドイツ語学科准教授。 専門は言語社会学、言語教育学。 とりわけヨーロッパの少数言語の動向(言語復興・言語再活性化)を研究。 主要著書:『ことばへの権利−言語権とはなにか』三元社、1999年(共編)、 『言語的近代を超えて−<多言語状況>を生きるために』明石書店、2004年(共著)、 『言語にとって「人為性」とはなにか − 言語構築と言語イデオロギー:ケルノウ語・ソルブ語を事例として』三元社、2005年

アジア諸国におけるヨーロッパ語の言語政策:成功と失敗

リチャード・バルダウフ

要旨:
本論文では、東アジア各国における言語政策の可能性と限界について論じる。 まず表を使いながらこの地域における言語状況および言語政策を概観し、本研究で取り上げる各国に関する言語計画状況のバックグラウンドを提供する。 続いてそれぞれの国ごとに個別の事例を挙げ、ヨーロッパ語の言語政策の成功面と失敗面を見る。 最後に、共通して結論できることとして、東アジア地域において言語政策がどの程度まで可能であり、また限界があるのかについて考察する。

発表者: リチャード・バルダウフ
クイーンズランド大学教育学部助教授。国際応用言語学会(AILA)委員。 論文著書多数。共著・共同編集に Language Planning and Education in Australasia and the South Pacific (Multilingual Matters, 1990)、 Viability of Low Candidature LOTE Courses in Universities (DEET, 1995)、 Language Planning from Practice to Theory (Multilingual Matters, 1997)、 Language and Language-in-Education Planning in the Pacific Basin (Kluwer, 2003)、 Planning Chinese Characters: Evolution, Revolution or Reaction (Kluwer, 2007)。

教育における言語権:あまりに少なくあまりに遅い?

トーヴェ・スクトナプ=カンガス

要旨:
今日世界の先住民の子どものほとんど、またマイノリティーの子どもの多くは、国連ジェノサイド条約(www.hrweb.org/legal/genocide.html)の第2条(e)「その集団の児童を他の集団に強制的に移すこと」および同(b)「その集団に属する人々に重大な肉体的又は精神的な危 害を加えること」の定義によるならば、言語的ジェノサイドというべき教育を受けている。 すべての人が教育を受けられる時代において、先住民やマイノリティーの人々が民族や集団としての独自性を維持する上で最も重要な教育上の言語権は、母語で 教育を受ける権利であるが、これは国際法上もほとんど保障されていないばかりか、権利の進展を妨げる動きも多くの国から起きている。 先住民の権利に関する宣言(最新状況は http://www.docip.org/ を参照)の草案がたどった経緯がその例である。先住民やマイノリティーの言語で教育が行われないならば、多くの場合、世界の言語的多様性の消滅・抹殺につながる。 言語的多様性と文化的多様性は相互に関係し、またおそらく生物的多様性(の維持)にも関係するため、教育における言語権の欠如は、西洋科学の知識よりしばしば的確であると今日科学者も認めている伝統的・生態学的知識の継承を脅かすことになる。
本論文では、教育における言語権を守るために今日までに行われてきたことは、あまりに少なくあまりに遅いのか、について考察し、アジアにおける進展の例をいくつか取り上げる。

発表者: トーヴェ・スクトナプ=カンガス
ロスキレ大学(デンマーク)およびÅbo Akademi大学(フィンランド)。 マイノリティー教育、言語権、言語的ジェノサイド、英語の支配的普及などに関する論文・著書多数。 2003年 Linguapax award 受賞。 http://akira.ruc.dk/~tovesk/ 参照。

司会

ウルリッヒ・リンス

要旨:
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発表者: ウルリッヒ・リンス
ケルン大学、ボン大学、東京大学にて歴史、政治、日本学を専攻。博士論文のテーマは大本教と日本の国家主義。ドイツ学術交流会 (DAAD) 前東京事務所長。主な著書に「危険な言語」岩波新書(1975)、「ドイツの統合」大西建夫共編(1999)。

「ヨーロッパ言語」とは何か

ウーゴ・カルドーゾ

要旨:
類型論的に異なる親言語どうしの集中的接触から生まれたアジアのクレオール語について、言語上の分類を考察するとき、「ヨーロッパ言語」対「アジア言語」 という二分法は必然的にあいまいさを露呈する。過去現在のアジアにおける、ポルトガル語起源の語彙を持つ複数のクレオールのデータが示すとおり、これらの 言語には類型論的な混交が見られる。また、アジアのいくつかの地方においては、地域的重要性を獲得するにいたっている。こんにち、グジャラート語、マラ ヤーラム語、マレー語などからの無視できない影響にあえて目をつぶらない限り、これらのクレオールを単純化されたヨーロッパ言語であると言い張ることはで きなくなった。よって、言語政策は、従来の地理学的なレッテルに頼るのではなく、言語の社会的な役割と重要性を地域的視野から見きわめる必要がある。

発表者: ウーゴ・カルドーゾ
アムステルダム大学に所属するポルトガル人言語学者。語彙をポルトガル語から借用したクレオール語を、主な研究テーマとする。サラマッカ語におけるポルト ガル語要素に関する著書、また最近では、インド=ポルトガル語クレオールに関する著書がある。現在は、ディウのインド=ポルトガル語の文書化と言語記述を 目的とする研究プロジェクトに参加している。

ロシア文化と日本社会〜20世紀初頭の日本におけるロシア語

セルゲイ・アニケーエフ

要旨:
いずれの国も、近隣国との接触やその影響 (一方的であれ双方向的であれ) なしに存続し発展することは不可能である。 日本もまた例外ではない。 古代日本の人々は、進んだ国々、すなわち古代朝鮮の三国、のちには中国から知識を取り入れながら、社会生活を近代化していった。 これらの国々の影響は、長い時間をかけて少しずつ日本に浸透したため、異文化として意識されることがなかった。 これに対し、ヨーロッパの国々およびアメリカ合州国との 2 世紀にわたる鎖国後には、異文化が嵐のように侵入し、日本人の生活は激変した。 日本は、特にこれらの国々の政治経済制度の研究に没頭した。この点で、当時のロシアは模倣すべきモデルとなりえず、競争力にも欠けていた。 しかし、精神的価値、特に日本に対するロシアの文化的影響に関して言えば、状況はまったく異なっていた。 ここでは、両国の歴史上の政治イデオロギーのため日本において無視されがちな、日露間の文化的交流に光を当てる。 初期にはロシア正教会が橋渡し役となり、ロシア語を日本人の間に普及させた。 こうしたロシアの文化侵入について、およびそれが日本に何をもたらしたのかについて、明らかにする。

発表者: セルゲイ・アニケーエフ
ロシア極東大函館校 副校長・ロシア語専門教師。 研究報告:「ロシア人の目で見る国家神道」邦文(神道国際学会、東京、1999);「亡命ロシア人の回想録に見られる日本のイメージを触れて」露文(ウラ ジオストク、極東大学、2003); 「ワシーリ・エロシェンコはどこの国の作家であるか」邦文(北海道大学、2004) 露訳: 出口王仁三郎「道の栞」(大本教学研鑽所、京都、2000); 櫻井勝之進「次代に伝える神道」(神道国際学会、東京、2001) 教材:「税関ロシア語会話」(ラジオストク、極東大学、1999);「税関関連用語(単語)集(ロシア語版)」(ラジオストク、極東大学、2000); 「ロシア語を話しましょう」付随文法解説(ラジオストク、極東大学、2000);「税関実用ロシア語基礎教程・練習問題・文法解説」 (ウラジオストク、 極東大学、2003)

モンゴルの発展におけるヨーロッパ言語の役割:過去と未来

チョイドン・ゼギマー

要旨:
12世紀から13世紀にかけて、モンゴルは中央アジアに勢力を拡大していたが、その際にモンゴル人が、ヨーロッパ語を含むさまざまな外国語を学び、使っていたことが歴史的資料から知られている。 本報告では、モンゴルの社会生活においてヨーロッパ語が果たしてきた歴史的役割、そして現在果たしている役割について簡単に紹介し、またモンゴルにおけるヨーロッパ語、特にフランス語、ドイツ語、ロシア語、英語の学習の歴史にも言及する。 さらにヨーロッパ語に関するモンゴルの言語政策と、政治、教育、社会経済、社会コミュニケーションなどの領域におけるその実行について議論する。 特に、社会生活において大きな役割を担ってきたロシア語に焦点があてられる。 最後に、将来のモンゴルにおけるヨーロッパ語政策の方向性について、発表者の私見を述べたい。

発表者: チョイドン・ゼギマー
博士、Sc. D、教授。言語政策国立アカデミー会長、研究プロジェクト「モンゴル政府言語政策に関する学問的基盤」総責任者、モンゴル・ロシア共同プロジェクト「グ ローバル化時代における国家語:ロシアとモンゴル」のモンゴル側総責任者。人文大学大学院学部長。国立プーシキン記念ロシア語大学(モスクワ)にて 1992年に博士号、1998年にSc.Dを取得。専門領域は社会言語学、言語政策、語用論、言語エチケットおよびポライトネスなど。

アジアによみがえるポルトガル語

市之瀬 敦

要旨:
かつて大航海時代においてポルトガル語がアフリカやアジアでヨーロッパ人と現地住民の間のリンガ・フランカとして機能していたことは広く知られている。 それがピジン化あるいはクレオール化した変種であったか否かは別として、ポルトガル語が異民族間で重要な「橋渡し言語」であったことは確かである。 その後、ポルトガル語はフランス語や英語の伸張を前に衰退を始めるが、20世紀末から21世紀初頭にかけて新たな動きが確認できる。 まず2002年に独立した東ティモールにおいて、ポルトガル語は2つの公用語の1つとして採用された。 21世紀に入り、ポルトガル語公用語国が増えたのである。 さらに忘れてならないのは、1990年代以降、日系ブラジル人を中心とし「出稼ぎ」が増加したことである。 現在は約30万人のブラジル人すなわちポルトガル語の母語話者が日本で生活しているのだ。 日本にとってのポルトガル語、ポルトガル語にとっての日本を考察対象としてみたい。

発表者: 市之瀬 敦 (いちのせ あつし)
上智大学外国語学部ポルトガル語学科教授。 専門はポルトガル語学、ピジン・クレオール諸語研究。 特にアフリカやアジアにおけるポルトガル語の使用状況とポルトガル語系クレオール語を研究。 主要著書:『クレオールな風にのって ギニア・ビサウへの旅』社会評論社、1999年、『ポルトガルの世界 海洋帝国の夢のゆくえ』社会評論社、2000年、『海の見える言葉 ポルトガル語の世界』現代書館、2004年、『ポルトガル語のしくみ』白水社、2007年

フランス語と日本の社会

泉 邦寿

要旨:
 幕末に軍事的な必要から初めて学ばれるようになったフランス語は、明治維新後、国の近代化推進、とりわけ軍事、法律、産業面の知識と技術を導入するため に学ばれてきただけでなく、民権思想への影響も大きかった。その後、フランス語との結びつきの対象は文学、音楽、美術方面へとシフトしていき、それは現在 まで続いている。したがって、これまでのフランス語が日本の社会に与えてきた影響は主としてエリート層に対してであって、言語そのものが日本の社会に直接 的なインパクトを与えたとは言い難い。今、料理、菓子、ファッション、化粧品を中心とした商品名や店名などで町にはフランス語があふれている。これはこれ までになかった大衆化の現象ではあるが、ここでのフランス語は、マクルーハンのことばをもじれば、メッセージではなく、マッサージとしての役割のみといっ ていい。現在の日本の社会では世界中が英語だけで事足りると考える傾向、ある種の一言語主義的幻想がますます強くなりつつあるが、フランス語がそれに対す る一つの警告と認識を改めさせる力となり得るかどうかは、ヨーロッパならびにフランス自身の言語に対するあり方にかかっているともいえる。

発表者: 泉 邦寿
上智大学外国語学部フランス語学科教授。 専門はフランス語学、意味論、社会言語学。 とりわけ、日仏語の対照意味論、ならびにヨーロッパ統合と言語の問題をフランス、ベルギー、ルクセンブルクを中心に研究している。 主要著書:『フランス語学研究の現在』白水社、2005年(共編著)、『グローバル化する世界と文化の多元性』SUP上智大学出版会、2005年(共編著)、『フランス語の小径』白水社、2004年。

「超欧」のためのエスペラント:日本における社会進化論的位置づけ

臼井 裕之

要旨:
近代の日本人はヨーロッパ言語、特に英語に対して両義的な態度を取ってきた。 つまり、一方ではヨーロッパ語を愛するあまり、日本語を捨ててヨーロッパ語に乗り換えようという提案すらなされたのである。 しかし他方で英語に対して強い憎悪が表明され、学校教育や公的な場からのその追放が叫ばれたこともある。 この両義性は日本人が抱えてきた、西洋列強に対抗するために西洋文明を学ぶというジレンマに由来する。 まさにこのジレンマのために多くの日本人が、社会進化論的に解釈された「超欧」の手段として、エスペラントに関心を寄せることになったのである。

発表者: 臼井 裕之
1967年生まれ。青山学院大学で修士号取得。 日本エスペラント学会研究教育部。 共編に『ことばへの権利』、共著に『言語的近代を超えて』、『ポーランド学を学ぶ人のために』、論文に「森有礼と北一輝の共通項:非日本語採用という『国家戦略』」、「北一輝の<エスペラント採用論>に見る近代日本の<英語問題><国語問題>」など。

コメント

田中 克彦

要旨:
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発表者: 田中 克彦
一橋大学名誉教授。専門は言語学、モンゴル学。 著書に『ことばと国家』、『言語学とは何か』、『エスペラント』(以上、岩波新書)、『国家語をこえて』、『ことばのエコロジー』(以上、ちくま学芸文庫)、『差別語からはいる言語学入門』(明石書店)、『ことばとは何か』(ちくま新書)ほか多数。

前日の議論総括

ティモシー・レーガン

要旨:
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発表者: ティモシー・レーガン
現在、中央コネチカット州立大学(コネチカット州 ニューブリテン)教育リーダーシップ学科教授。主な研究分野は、教育言語 政策、異言語教育、文化的・言語的マイノリティー集団の教育。これらの分 野での著作多数。最新作は "Critical questions, critical perspectives: Languages and the second language educatio" (2005, Information Age Publishing)。

司会

A・ギリダル=ラオ

要旨:
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発表者: A・ギリダル=ラオ
1963年生まれ。ハイダラーバード大学で博士号 (英語学) 取得。同大学非常勤講師。サイエンス・フィクションをテーマとした学位論文 (1994) の執筆以来、同じくヨーロッパ啓蒙思想の産物であるエスペラントの、人間性解放のための可能性に着目。 主な関心領域は、言語政策に関する記事執筆、非政府組織向け文書の編集制作、インターネット時代におけるコミュニケーションの可能性。エスペラントを教え るかたわら、マハトマ・ガンディー自伝をエスペラントに翻訳中。インド・エスペラント連盟の事務局長として、2008年2月にインドで開催される第5回ア ジア・エスペラント大会の準備に従事。

日本の文化的文脈における外国語教育の展開

マレク・コシチェレツキ

要旨:
日本における外国語に関する経験と、それが日本の社会的な近代化に与えた影響について述べた研究で、英語で書かれたものは驚くほど少ない。 外国語を学ぶことによって、日本人は外国における発展を分析し、また自国に適合させ、このような知識を自らの科学技術における革新に応用してきたのであった。 本報告は社会文化的ないし社会言語学的な状況を総体的に描写し、日本の文化的文脈における外国語教育の位置づけを試みる。 報告者に手に入る通時的、共時的情報を総合することによって、日本における外国語教育と、それが社会的近代化の過程にもたらした効果を評価したいと思う。

発表者: マレク・コシチェレツキ
ポーランド、ニュージーランド、オーストラリアで教育を受けた。1970年代初頭、ウェリントンのヴィクトリア大学で英語とドイツ語を専攻。1984年、シドニー大学言語学部で応用言語学修士号を取得(当時の指導教官はM.A.K.ハリデー)。 1996年、オーストラリア・パースのエディス・コーワン大学で応用言語学博士号を取得。中等教育、高等教育のレベルで教員経験あり。現在では香港公開大学助教授。

新しい言語帝国秩序:ヨーロッパからの世界への教訓

ロバート・フィリップソン

要旨:
英語の使用は世界的に拡大しつつある。ヨーロッパ大陸(欧州連合の機関およびその加盟国)では、これはアメリカ企業先導のグローバル化と軍事的活動、そし て進行しつつあるヨーロッパ統合の直接的帰結である。威信を持っていたヨーロッパ語(フランス語、ドイツ語…)も格下げされかねず、これらの言語資本は蓄 積過程を通して減価を強いられている。このような事態は世界市場や金融、メディア、そして高等教育の動向と密接に結びついている。英語の運用能力がある人 は、その他の言語の話者に比べて不公平な利益を得ている。言語新帝国主義や、これへの代案を研究することは、超国家レベル、国家レベル、地域レベルにおけ る多言語政策の立案と結びつけられなければならない。

発表者: ロバート・フィリップソン
イギリス出身。ケンブリッジとリーズの大学に学び、アムステルダム大学で博士号を取得した。北アフリカおよび東ヨーロッパで英語を教えたのち、デンマーク に移住。現在はコペンハーゲン商科大学教授である。代表的著書としては、Linguistic Imperialism (Oxford University Press, 1992)およびEnglish-only Europe? Challenging Language Policy (Routledge, 2003)がある。専門領域はグローバル化における英語の役割、言語新帝国主義、言語権、社会言語学、言語教育学。経歴や業績(一部ダウンロード化)のさ らなる詳細は、http://www.cbs.dk/staff/phillipson を参照のこと。

日本における英語教育と言語政策

河原 俊昭

要旨:
英語教育に関して、近隣のアジア諸国と比較して、「日本は遅れており、アジアは進んでいる」という声がよく聞かれる。その理由として日本の英語教授法に問 題があると言われることが多い。また日本人のTOEFLのスコアが他国と比べて低い点が自嘲気味に言及されることが多い。しかし、これらは英語教授法の問 題というよりも、日本人が従来英語をさほど必要とせず、それゆえに英語への関心が薄かったという事実から生じたと考えられる。
日本では日本語が十分に機能している。科学・技術・行政・立法・司法・マスコミ・教育・産業の各分野で日本語が十分に機能している。日本は日本 語で博士論文を書くことのできる国である。母語では専門的な分野をカバーできない他国と比較して、日本人の英語力の低さを嘆くことは誤解を招く恐れがあ る。
翻訳で世界の様々な文献が読めて各分野で日本語で用が足せるという点、日本がアジアの中にありアジア諸国との人的・物的な交流が盛んになってき ている点、国内に外国人住民が増え日本が多言語社会化しているという点、これらの諸点を踏まえて、日本ではどのように英語教育と言語政策が押し進められる べきか考えてみたい。

発表者: 河原 俊昭
京都光華女子大学文学部教授。博士(社会環境科学)。 専門は言語政策、英語教育、アジア英語。 主要著書に『世界の言語政策』くろしお出版、2002年(編集)、『多言語社会がやってきた』くろしお出版、2004年(共編)、『外国人住民への言語サービス』明石書店、2007年(共編)、『アジア・オセアニアの英語』めこん、2006年(共編)などがある。

中国における英語の役割

馮 志偉

要旨:
本論は、中国における英語受容の紆余曲折を説明し中国の英語教育の進展(英語教科書編纂、英語力テスト等)について紹介する。今や英語教育は中国において 一大産業と化した感があり、学習者は増加の一途をたどっている。2008年の北京オリンピックにおいては多言語サービスが重視される。英語教育と並んで中 国語教育・中国語学習へのてこ入れを提言する。英語教育と中国語教育の適正なバランスの確保は、中国において言語を政策的にどう位置づけるかという課題の 延長上にある。

発表者: 馮 志偉 (ひょう・しい)
中国・教育部応用言語学学会上級特別研究員・コンピュータ言語学教授。 グルノーブル大学応用数学研究所 (IMAG-GETA) 客員研究員(フランス、1978〜1981年)、中国科学技術情報学会 (ISTIC) 機械翻訳グループ主任(北京、1981〜1985年)、シュトゥットガルトのフラウンホーファー研究所 (FhG) 客員研究員(西ドイツ、1986〜1988年)、トリエー大学教授(ドイツ、1990〜1993年、1999〜2000年)、コンスタンツ高等専門学校 CITAL 学術諮問委員(ドイツ、1996年)、韓国科学技術先端研究所 (KAIST) 電子工学コンピュータ学部 (EECS) 教授(韓国大田市、2000〜2001年、2003〜2004年)。 現在は、北京大学、浙江大学、中国交通大学、黒龍江大学など大陸中国の多数の大学で特任教授の地位にある。また、国家パターン認識中核研究所の学術諮問委 員、国家言語委員会標準化委員会委員、中国国家学術基金審査員、国家哲学社会科学基金審査員、拡大欧州言語リソース基礎形成機関(TELRI, EU)諮問委員、香港専門用語協会諮問委員、国際言語リソース評価学会(LREC)諮問委員会委員を兼務するほか、『コーパス言語学国際ジャーナル』 (IJCL、アムステルダム)、『中国語とコンピュータ化・国際ジャーナル』(IJCC、シンガポール)、『中国語文』(北京)、『中国科学技術専門用語 誌』(北京)の編集委員でもある。 22冊の学術書を刊行し、200篇の学術論文を発表している。

植民地主義・民族主義と広域コミュニケーション言語の普及

ジョセフ・エリントン

要旨:
標準インドネシア語は、インドネシアの大多数の国民により第二言語として話されている点で、めずらしい国語である。本報告では、この言語にまつわる特異な 植民地史を概説し、言語が話し手によってさまざまに「所有」されうる可能性について広く問題提起する。また、近年の東チモールにおいて、インドネシア語が インドネシア政府に対する抵抗の道具となった経緯についても論じる。これら2つの時代の発展経緯は、どちらも言語「普及」の類似例とみなされがちだが、こ こでは、それぞれの状況によって大きく異なりうる政治的文化的力学の複雑さを明らかにしたい。

発表者: ジョセフ・エリントン
米国イェール大学教授。 専門は人類学、国際関係論、地域研究。 マクミラン・センター南アジア研究評議会代表。 主要な研究はインドネシアの言語および社会変化、とりわけジャワ島南部・中央部におけるインドネシア語とジャワ語の二言語話者に関して行ってきた。 近刊に『植民地世界における言語学-言語、意味、権力の物語』がある(2007年8月刊行予定)。

インドの言語生態系における英語

E・アンナマライ

要旨:
ここでは言語生態系を、自らの利益を追求する共同体間の関係と定義したい。この関係性は言語間の競争によって、常に測定されなおされている。以上を前提と して植民地時代、国民国家全盛の時代、そして今日のグローバル化の時代のそれぞれにおいて、英語がインドの言語生態系の中で果たしてきた役割を解明するこ とが本報告の主題である。英語はこの生態系の中で、自らに位置と役割を求めている種のうちでは新参者であり、その位置や役割については他の言語が英語と競 合している場合もあれば、すっかりこれらを明け渡している場合もある。現状では英語やその他の諸語が、限られた資源をめぐって競争しているが、そこにおい て補完的な資源への接近方法を確保することが求められている。これこそは、インドやその他の多くの国が直面している課題である。本報告はこの課題について 述べ、インドにおいて提示されている複合的な解決策に言及する。ここで問題となるのは、経済的な眺望と文化的な眺望の間の境界線を維持できるかということ である。このようにして言語間の関係性が進化発展してきた過程を、計画的な多言語政策に対置してみたい。後者において計画は、明示的に国家によって遂行さ れるか、暗黙のうちに市場によって推進されることもある。さらにグローバル化する市場において、国家や市場が持っている相対的な勢力についても言及する。

発表者: E・アンナマライ
E.アンナマライは、シカゴ大学で言語学博士号を取得し、マイソールのインド語中央研究所所長を務めた。 現在はイェール大学で教鞭を取っている。 言語政策とそのプログラムに関する同氏の見解は長年の研究成果に基づき、政府や地域共同体、個人が言語使用や多言語政策の安定化に関して果たしている役割を統合するものである。 このような見解は、論文 “Reflections on a Language Policy for Multilingualism”(Language Policy 2:2, 2003)に述べられている。 またその研究の射程は、著書 Managing Multilingualism in India: Political and Linguistic Dimensions (2001)から知ることができる。 インドにおける多言語政策についての研究は当然の過程として、インドの多言語状態の中における英語の位置と役割を主題化することとなった。そのため、イン ドの多言語状態における英語の位置や役割にも関心を抱き、英語の教育的や政治的側面、そしてタミール語との併用に関する言語学的研究もある。またインド諸 語、特にタミール語のデータベースや辞書の作成にも従事している。

アジアの科学界における英語

アムリ・ワンデル

要旨:
20世紀には科学革命とインターネット革命が あらゆる面にわたってわたしたちの生活に影響を及ぼしました. 英語が飛躍的に勢力を拡大したのも,この2つの革命に伴われてのことでした. 英語は今や科学論文と学術会議の主要言語となりました. 東アジアの科学界でもその点は同じです. たびたび世界を相手にする中国や日本の科学者たちは, 論文の大半を英語で書きます. 多くの学術会議が東アジアで行われますが, 英語はそのすべての少なくとも主要な会議用語であり, ほとんどの場合は唯一の会議用語となっています. こうした風潮をわたしの個人的経験に照らして振り返り,また, この英語ヘゲモニーに対して見せるエスペラントの態度と比較しようと思います.

発表者: アムリ・ワンデル
1954年生まれ。イスラエル在住。イェルサレム大学教授として宇宙物理学を講じる。 専門は活動銀河、ブラック・ホール、宇宙生物学。 ニューヨーク州立大学ストニーブルック校にて博士号を取得後、プリンストン、メリーランド、スタンフォードの各大学講師、UCLA客員教授を歴任。 1992年以来エスペラント・アカデミー会員。サンマリノ国際科学アカデミー教授。

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吉武 正樹

要旨:
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発表者: 吉武 正樹
福岡教育大学英語教育講座准教授。専門はコミュニケーション学。「英語で異文化・国際コミュニケーションすることとはどういうことか」ということを研究の テーマに、英語教育などとも絡めながら研究を進めている。主要著書:『多文化社会と異文化コミュニケーション』三修社、2002年(共著)、『現代コミュ ニケーション学』有斐閣、2006年(共著)、『21世紀の英語科教育』開隆堂、2007年(共著)。

司会

ハンフリー・トンキン

要旨:
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発表者: ハンフリー・トンキン
米国ハートフォード大学

母語の活力:翻訳による言語の育成

プロバル・ダシグプタ

要旨:
言語計画を議論する専門家たちが「言語の育成」と呼ぶ活動がある。 この人たちによってこの活動が重視されるのは、まだ喪失されていない使用領域における言語の活力を維持するために必要なためである。 本発表の主張は、言語の育成において翻訳学の最新の成果を活用するところにある。特権的または古典的なテキストによって[聖典によって]、母語の周囲に砦を築くような戦略は、あまり効果的とはいえない。 むしろ、コミュニケーションの透明性を最大化することが必要とされている。このような考え方は、翻訳学における特定のアプローチに対応するもので、翻訳学における手法と言語計画の研究との連携を発展させることは以前から期待されてきたことである。

発表者: プロバル・ダシグプタ
1980年、ニューヨーク大学で生成文法に関する博士号を取得。 その後、ニューヨーク、メルボルン、コルカタ、プネー、ハイデラバードで言語学を、バーラストン(イギリス)、サンフランシスコでエスペラントを教えた。 Language Problems and Language Planning誌編集委員。 主な著書に、The Otherness of English(1993)、After Etymology(2000)、小説のエスペラント訳4点、同エスペラントからの訳1点がある。 2001年からエスペラント学士院副会長、2004年からアメリカ言語学会名誉会員。 2006年からインド統計研究所言語学部局(コルカタ)に勤務。

インドネシアの諸言語のなかのインドネシア語 − その関係性の現状

トトク・スハルディアント

要旨:
本報告は今日のインドネシアの人々にとってのインドネシア語の地位に焦点をあてる。 インドネシア語をインドネシアのその他の諸言語との関係で、またインドネシア国内の諸地域および他の国で使われるマレー語の諸方言との関係で検討するのが本報告の課題である。

発表者: トトク・スハルディアント
慶應義塾大学総合政策学部訪問講師。 1993年以降、インドネシア大学人文学部でインドネシア語の統語論、形態論、神経言語学の教鞭をとる。 現在の主な研究領域は批判的言説分析(CDA)およびコーパス言語学。2002年から2004年および2005年から現在まで慶應義塾大学でインドネシア語および文化を教えている。

中国少数民族の言語状況:ミャオ族を中心に

楊 志強

要旨:
本報告は主に中国少数民族の言語政策、及びその現状について論じるものである。具体的には中国のミャオ族を例にして、80年代以降、改革開放政策のもと で、ミャオ族社会の言語使用、及びバイリンガル教育の状況を紹介したうえ、また、ミャオ族知識人たちによる文字統一を巡る議論とその背景について検討す る。

発表者: 楊 志強 (よう・しきょう)
日本学術振興会外国人特別研究員、東京大学客員研究員。2005年に東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻博士号を取得、2006年に中国貴州省貴州 大学人類学研究所教授、また同大学日本研究所所長を担当。2006年〜2008年日本学術振興会の「外国人特別研究員」として再来日、東京大学で「中国愛 国主義教育と少数民族社会」をテーマにして研究を行っている。研究分野は文化人類学と歴史学、主に現代中国少数民族社会の変容及びアイデンティティーなど の問題に集中している。

多言語社会日本の挑戦 −外国人支援を超えて−

平高 史也

要旨:
本発表では、日本における言語政策の課題を在住外国人の言語権という視点からとらえ、この問題が在住外国人にとどまらず、マジョリティーである日本人の問題でもあることを指摘する。 在住外国人の言語権を、日本語の学習と母語の維持という二つの側面からとらえると、日本語教育と母語教育の重要性が浮かび上がってくる。 外国人に言語教育を行う場合には、彼らの母語に関する知識は不可欠である。 また、多言語多文化化が進行しつつある今日の日本では、いながらにして異言語や異文化に触れる機会が増えている。 こういった機会をとらえて、受け入れ側に立つ日本人の意識を変え、外国語教育を見直そうという動きが少しずつ見られるようになっている。 本発表では、公立小学校での実験授業などの例を挙げながら、在住外国人の増加にともなう「内なる国際化」の進行が外国語教育の改革にもつながっていることを示す。

発表者: 平高 史也
慶應義塾大学総合政策学部教授。 専門は社会言語学、外国語教育学、特に日本語とドイツ語に関する教育を研究。 主要著書:Der Erwerb der Temporalitat im Japanischen als Zweitsprache. Munchen: iudicium 2001、『多言語社会と外国人の学習支援』慶應義塾大学出版会2005年(共編)、『外国語教育のリ・デザイン』慶應義塾大学出版会2005年(共編)

エスペラントはアジアの言語か 〜 媒介言語の生態系における成長要因と阻害要因

マーク・フェテス

要旨:
エスペラントはアジアの地で長い歴史を持っている。 エスペラントの文化的・社会的意義をめぐる議論でしばしば忘れられがちな事実である。 この歴史には政治、アイデンティティ、教育にかかわる側面があり、エスペラントはこれらの各側面を通じて言語と人々の相互関係が織り成す複雑なネットワークの中に特定の位置を占めている。 このシステムが将来どのように推移するかを予測するには、エスペラントの普及を阻害する構造的な要因と、逆にその普及を促進する要因がそれぞれどんなものかを理解する必要がある。 こうした分析は、エスペラントという言語の性格だけでなく、エスペラントを取り巻くより広い言語生態系にも光を投じるものとなろう。エスペラントはこの言語生態系の変動を示す、小さいけれども注目すべき指標であるからだ。

発表者: マーク・フェテス
バンクーバー(カナダ)にあるサイモン・フレーザー大学教育学教授。 おもな研究テーマは、先住民コミュニティーにおける教育、学習と教育に果たす想像力の役割、言語政策と言語計画への生態学的アプローチなど。 米国のエスペラント研究財団理事であり、社会的・政治的見地から見たエスペラントについて複数の研究論文を書いている。

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庄司 博史

要旨:
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発表者: 庄司 博史
国立民族学博物館研究部教授。専門は言語学、多言語主義論、言語政策論。近年は、特に移民言語に関する研究に携わっている。主要著書:『事典 日本の多言 語社会』2005年、岩波書店(共編)、『講座 世界の先住民族 ファースト・ピープルズの現在 ヨーロッパ』2005年、明石書店(共編)、『ことばの 二〇世紀』1999年、ドメス出版、 "Multilingualization - A Breakthrough into Japanese language consciousness?" Joseph F. Kess et.al.(eds), Changing Japanese Identities in Multicultural Canada, 2003, Univ. of Victoria
 
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