(6) おわりに−地域研究の方法論確立を目指して
既述のように、日本の国際的地位の向上に伴って、異文化理解のための地域研究的アプローチヘの関心とその必要性はますます高まりつつある。それとともに、地域研究の方法論の確立と学問としての体系化が急がれているわけだが、地域研究の定義が曖昧なこともあって、特に教育面においては各大学の実情に合わせて、独自の方法論を打ち立てることが必要となっている。
上智大学外国語学部の場合は、これまでのカりキュラム検討の過程において、外国語と地域研究を2本の柱とすることで合意が得られ、学科レベルにおいて地域研究科日の充実が図られつつある。つまり、l年次における地域研究(文化)入門、2年次における地域概論(概史)、3・4年次におけるより専門的な地域の歴史、政治、経済、社会、文化、文学、美術などの研究を行うというシステムである。
最後に、筆者のラテンアメリカおよびブラジル研究の経験からいえば、学部レベルの地域研究においては、地域の地理的および歴史的知識、そして他の地域との比較の視点の3つが重要であることを指摘したい。そして最近感じていることは、学部レベルの地域研究では、こうした地域の基礎的知識を中心とする各分野の概論に徹すべきであり、より専門的な地域研究は大学院レベルて行うべきではないかということである。(水野 一)
【参考文献目録】
−河部利夫『外国学ことはじめ』(玉川大学出版部、1979年)
−中嶋嶺雄、チャルマーズ・ジョンソン編著『地域研究の現在』(大修館書店、1989年)
−矢野暢編『講座:政治学W地域研究』(三嶺書房、1987年)
−石沢・水野・宇多・村井共編『地域研究一方法論と地域像の検証』(上智大学アジア文化研究所、1987年)
−石沢・水野・字多・村井共編『地域研究(2)一カリキュラムと地域研究方法論』(上智大学アジア文化研究所、1989年)
−カルロス・メサ=ラゴ(国本伊代訳)「米国、ヨーロッパおよびラテンアメリカにおけるラテンアメリカ研究−その歴史と現状と問題点」(『ラテンアメリカ研究年報』No.1.1981年6月)
−水野一「外国語と地域研究−国際教養人育成の方法」(上智大学『外国語学部紀要』第11号、1977年3月)
−Pye,Lucien W.,ed.,Political Science and the Area Studies:Rivals or Partners? (Bloomington,Indiana Univ.Press,1975).
−Wood,Bryce,“Area Studies”,International Encyclopedia of the Social Sciences Vo1.1 (New York,Macmillan and Free Press,1968).
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